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虹のパレット~いつでも帰れる故郷と友は宝物


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  いつでも帰れる故郷と友は宝物

                         毎日新聞2016年7月25日 愛知





 6月18日。ふるさと(愛知県岡崎市)にほぼ近い幸田町民会館での「T’s GARDEN 2016」コンサートが無事、終了しました。名古屋では毎年、必ずコンサートをしているのですが、岡崎のこんなに近くでは初めて。


 私にとって故郷はとても大切な特別な場所。23歳でソロデビューした時に、そんな大切な場所・岡崎でコンサートをするのは引退する時にしよう! と心に決めたことがあります。ところが数年前、方針を変えて生涯現役がモットーと宣言した私。「いかん。このままでは、一生ふるさとでコンサートができなくなる」と思い、ふるさとエリアでのコンサート解禁をしたところ、今回、幸田町とのご縁がありました。

 幸田町は私の出身地・岡崎市のお隣。高校時代の同級生もいるし、嫁いだ友人もいる町。30年以上、音楽を続けて来て、ほぼ故郷とも言える場所での初ライブということで、数日前からワクワク・ドキドキが半端ないこと。身内に加え、高校時代の仲間が来てくれるという連絡を受け、緊張状態は最高潮に。今回、学生時代の友人たちと放課後、語り合ったあの頃を描いた思い出の歌も選曲していたため、「感極まったらどうしよう……」とベッドの中で眠りにおちるまで、あれこれ考えを巡らせてしまいました。

 そして当日。三河安城駅で降り、バンドのメンバーとスタッフと共に車で幸田町へ。途中、車の窓から見える懐かしい風景にひそかに心の中で涙しましたよ。大切な場所を大切なメンバーやスタッフに見てもらえる幸せ。「あれ? 恋人を両親に紹介する時の気持ちに似てる!」。ここで私は生まれ育ちました。フフフ。

 コンサートは、お客様にあたたかく迎えていただき、和やかなムードで進行していきました。2部の冒頭では、今、愛知県の音楽大使を任命していただいている私ですが、何と大村秀章知事が大きな花束を抱えて駆けつけてくださいました。日帰りで東京から見に来ていた母と娘が「大村知事が登場した時の拍手がコンサートの中で一番大きかったねえ。すごい」と感心していました。が、私もステージ上でひしひしと拍手の熱さを感じました。盛り上げていただき、ありがとうございました。人生の中であんなに、きれいな素晴らしい花束を頂いたのは初めてです。じ〜ん。

 30周年イヤーの今年、音楽大使や、岡崎の市民栄誉賞を頂き、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。マイペースながら頑張って来たことを、やっと、ふるさとに認めていただけたのかな〜。ソロデビューしてから良いこともそうでないことも楽しいことも苦しいことも、たくさん乗りこえて、ここまでたどりつきました。悲しみや絶望の淵(ふち)にいたあの時、あきらめてしまわなくて良かった。踏んばったおかげで、こんなに素晴らしい今日という日に会うことができました。幸せなコンサートでした。

 それにしても、みんな離ればなれになって何十年も過ぎたのに忘れずに心の片すみに私を置いてくれている友達。ありがたいことです。いつでも帰ることのできる故郷と友がいるということが、こんなにも心強いことだとは……。あの日撮った、あの頃のまま年を重ねた私たちの笑顔の写真、宝物です。次は10月の豊川です。愛知づいてるなあ……。(シンガー・ソングライター)


 ■人物略歴

おかむら・たかこ

 1962年愛知県岡崎市生まれ。椙山女学園大学在学中に同級生の加藤晴子さんとデュオ「あみん」を結成し、82年に「待つわ」でデビューした。85年にソロデビュー。87年に発表した「夢をあきらめないで」はロングセールスを記録した。渋谷公会堂メモリアルライブを収めたブルーレイ「ENCORE8」を発売中。9月7日、ソロデビュー30周年記念ベストアルバム「DO MY BEST 2」発売予定。10月1日に愛知県豊川市文化会館でコンサートを予定。



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