「2002年は『あみん』がデビューして20周年の年で、それを記念した『DO MY BEST』というベストアルバムをリリースしたんです。これまで頑張ってきたごほうび的な意味合いのアニヴァーサリー・アルバムでしたから、私は選曲をさせてもらうことに加えてもうひとつ、ハコともう一度歌いたいというお願いをしてみようと思ったんです。 ハコは私より先に東京の企業に就職していましたが、プライベートでの交際はずっと続いていて、私がソロデビューのために上京するときには引越しの手伝いもしてくれたんです。もちろん、一緒にごはんを食べたりすることも何度もありました。ただ、その間、彼女と音楽の話をしたことは一度もなかったんです。そんな話をしたら気分を害してしまうかもしれないという気持ちが私にはありましたし、彼女もあえてその話をしませんでした。 ですから、そのことを頼むのは、とても勇気のいることでした。いつものように、ごはんを食べる約束を電話でしたときでしたが、“またハモってくれない?”と言ったあとにはすぐに“なんちゃって”と言える心の準備をしていたんです。ところがハコは、私が大学生のころに初めて彼女を誘ったときと同じように、“いいよ”と答えてくれました」
「あみん」の活動と、ソロ活動と、 ふたつがあって今の自分がある
岡村さんとハコさんの共演は、シングル『天晴な青空』と、『DO MY BEST』ツアー最終日のアンコールで実現しますが、その後もアルバムリリースとコンサートツアーなどの活動を続けてファンを喜ばせていますね?
2013年3月にリリースされた、17枚目のソロ・アルバム『NO RAIN, NO RAINBOW』についても是非お話してください。
「2011年9月、東日本大震災の半年後にリリースしたアルバム『勇気』は、昨日と変わらない今日という日常が続いていくというのは、実はすごいことなんだという気づきによって生まれました。『夢をあきらめないで』の新録音源を収録したことを含めて、メッセージ性の高いアルバムになりましたが、今回はそれとは少し違った形でテーマを見つめてみました。 今は、頑張っても頑張っただけの結果を得るのがむずかしい時代だと言われます。確かに、結果を出せずに苦しんでいる人に、さらに“頑張れ”と声をかけるのは酷ですよね。そんなとき、自分だったらどんな言葉を聞きたいかと考えると、“頑張ったね。よしよし”とほめてくれる言葉だと思ったんです。『NO RAIN, NO RAINBOW』を聴いた人が、少しでもそんな風に癒されることがあったら、素敵なことだと思いますね」
17枚目のオリジナル・アルバム『NO RAIN, NO RAINBOW』 デビュー30周年を迎えた岡村孝子の、前作『勇気』(2011年9月リリース)に続く17枚目のオリジナル・アルバム。 昨年12月に行われたスペシャルライブ「Christmas Picnic」にてリリースに先駆け披露され反響の大きかったタイトル曲『NO RAIN, NO RAINBOW』を始め、1989年リリースの『青い風』や、2008年あみんにてリリースされた『時間の砂』のセルフカバーを含む、全10曲を収録。 アルバムタイトル『NO RAIN, NO RAINBOW』はハワイの諺で「雨なくして、虹はなし」(雨が降らなければ、虹も出ない)という意味があります。「悪いことの後には、きっと良いことがあるよ」と、あるがままを受け容れながらも、また明日に向かって歩き出すしなやかな強さに溢れる、そんな岡村孝子からのメッセージが温かく心に響きます。 また、5月25日より全国ツアー「岡村孝子コンサートツアー2013 “ T's GARDEN SPECIAL ~NO RAIN, NO RAINBOW~”もスタート。日程や開催地などのくわしい情報は、岡村孝子オフィシャルホームページでチェックしてください。